【意見書】「出入国管理及び難民認定法改正案に反対する」

【意見書】「出入国管理及び難民認定法改正案に反対する」

 政府提出の「出入国管理及び難民認定法改正案」の審議が4月13日から衆議院で始まると報じられました。この法案は、2021年、通常国会で市民の強い反対に遭い、廃案になったものとほぼ同じ内容であり、非常に多くの問題を孕むものです。問題点として、次のようなものが挙げられます。

1.現行の国際人権法違反が維持される内容である。
 イ)入管収容には司法審査がない
 ロ)入管では無期限に収容が可能。収容中の死者も年に1~2人出ている。
 ハ)逃亡の危険がなければ収容しないなどの規定がなく、原則、入管が退去強制令を出した外国人を全員収容できる。
2.入管の裁量・権限をさらに強化する内容である。
 イ)難民申請を3回以上行った者を強制送還できるようにする。
  (「難民条約」上の、難民申請者を迫害の危険のある母国に強制送還してはならないという規定に反する)
 ロ)送還に応じない非正規滞在者の一部に懲役などの刑事罰を科す。

 ことに、難民認定率が1%程度と極端に低く、「難民鎖国」と揶揄される日本において、(2-イ)が適用されれば、日本に保護を求めてきた難民申請者を、殺される危険のある母国に追い返すことになり、人道上認めがたい内容です。

「平和への希求と憎しみの除去」を基本理念とし、「生命と人権、言論・表現の自由」を守る活動を続ける日本ペンクラブは、「改正案」による人権侵害を強く懸念し、この法案に反対します。

2023年4月11日
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 桐野 夏生