【日本ペンクラブ言論表現委員会・緊急アピール】
韓国・尹大統領の「非常戒厳」宣布による民主主義破壊の企てに強く抗議する
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、12月3日夜、突如「非常戒厳」なるものを宣布した。この動きは、軍事強権によって現政権の反対勢力排除を企図したもので、民主主義の根幹理念を否定する暴挙であることは明らかだ。
戒厳司令部の布告には、国会の諸活動に加え、市民の集会やデモなど一切の政治的表現活動を禁じ、すべてのメディアが政府の統制下に置かれる内容が含まれていた。市民の基本権に致命的な制約を加え、言論・表現の自由を侵害するこのような動きを看過できるものではない。
国会議員らが急遽国会に駆け付け、「非常戒厳」の解除要求決議を可決、約6時間後に尹大統領が「非常戒厳」を解除した。今後の動向はなおも流動的だ。「非常戒厳」宣布直後、国会周辺には多くの市民が駆けつけ文字通り体をはって抗議の声をあげた。長い苦難の歴史を経て民主化を成し遂げてきた韓国の、民主主義の理念、及び言論・表現の自由をまもる市民の底力をみた。
韓国における今回の事態は決して他人事ではない。私たちは、言論・表現の自由をまもる意志を今回の事態で動いた方々と共有することをこの小文によって再確認したい。
2024年12月10日
一般社団法人日本ペンクラブ 言論表現委員会
委員長 金平茂紀