女性作家委員会では、2年にわたって6回の講演会を開催、性暴力及びハラスメントが生じる社会の構造について議論し、理解を深めてまいりました。いずれも、個人の人生に深刻な影響を与えるものであるにもかかわらず、男性中心社会において、これまで軽視されてきました。しかし今、声をあげる被害者や、被害者を支援する輪が広がり、社会の認識は急速に変化しています。文芸・ジャーナリズム・アカデミズム等、既存の男性優位の規範のもとで活動してきた私たちもまた、この流れに呼応したいと考えます。これまでの6回の講演会をつうじた学びを踏まえ、女性作家委員会として以下の宣言をいたします。
【日本ペンクラブ女性作家委員会宣言】
「性加害のない世界を目指して」
私たち、文芸・ジャーナリズム・アカデミズム等の世界で表現・創作・出版活動にたずさわる者たちは、社会通念や人々の意識が大きく変わった現代において、あらゆる差別、精神・肉体・性へのいかなる暴力、いかなるハラスメントも許されるものではないと考え、根絶に取り組んでいくことを宣言します。
宣言を実効性のあるものにするためには、日本の出版ビジネスも、人権を尊重する意識や仕組みを、国際基準を満たすレベルに引き上げることが急務と考えます。国連ビジネスと人権作業部会の報告書をはじめ、訪日調査で得られた結果や課題の解決に向け、国内人権機関設立などの可能性を見据え、日本社会が具体的な一歩を踏み出す必要があると考えます。
そのためにも、まずは文芸・ジャーナリズム・アカデミズム等の世界が、構造的に生じうる自らの加害性にも目を向け、声なき声がかき消されない、よりよい社会を目指し、未来に手渡す努力をし続けます。
2024年9月8日
日本ペンクラブ女性作家委員会
委員長 吉田千亜
賛同団体(2024年9月7日現在)
一般社団法人日本ペンクラブ
公益社団法人日本文藝家協会
一般社団法人日本SF作家クラブ
日本歴史時代作家協会
一般社団法人日本劇作家協会
一般社団法人日本フォレンジックヒューマンケアセンター
一般社団法人現代歌人協会
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
日本出版労働組合連合会
『すばる』編集部
『小説すばる』編集部