日本ペンクラブ声明「国際ペン決議により核のない世界の実現を呼びかける」

日本ペンクラブ声明「国際ペン決議により核のない世界の実現を呼びかける」

日本ペンクラブ声明(PDF)はこちら→日本ペンクラブ声明「国際ペン決議により核のない世界の実現を呼びかける」

 日本ペンクラブは国際ペン平和委員会、スロベニア・ペンと共同で、2018年9月にインド・プネーで開催された第84回国際ペン大会に「非核化」決議を提案し、9月27日の代表者会議において採択された。

 国際ペンは世界に140余のセンターを持ち、3万人の作家が所属する国際的団体であり、日本ペンクラブはセンターの一つである。国際ペン・プネー大会には80余のセンターから400名が参加した。今回の「非核化」決議は、1984年の国際ペン東京大会での、核大国の核兵器削減を呼びかけた「核軍縮」決議に次ぐ、34年ぶり、2度目の核に関する決議となる。

 「非核化」決議は、広島・長崎の原爆によりもたらされた人間、文化、環境に対する受け入れがたい被害、ならびに、第二次世界大戦中、また戦後の核の使用・核実験により、女性、子ども、そして先住民に、いっそう多大な被害を与えたと指摘した。

 その上で、全ての人々が平和に生きる権利を持つことを再確認するとともに、核兵器能力の大規模な拡大をはかる政策、姿勢、立場は、核能力削減への世界の期待を裏切るばかりか、加速度的に増大させる恐れがあり、短期的、また長期的な未来にわたって、世界の平和を脅かすものであることにも警鐘を鳴らした。   

 さらに、国連安全保障理事会が国際緊張の緩和、ならびに平和への努力を促進すること、国連が核実験の暫定的停止、核不拡散条約に関する政策を遵守し、核兵器のない世界を実現するための拘束力のある目標をたてることを求め、国際ペンの全てのメンバーに自分自身の言葉を駆使し、軍縮という国際ペンの伝統を、再び発展させるように呼びかけた。

 最後に、国連のアントニオ・グテーレス事務総長の言葉を引用し、「世界はより結びつきを強めているが、社会はより断片化されていくなかで」、我々は発言していかなければならない、と決意を述べ、われわれが発言しなければ、社会はさらに断片化されていくのだから、と結んだ。

 私たち日本ペンクラブは、本決議の共同提案者である、国際ペン平和委員会とスロベニア・ペンの努力に対し、またナガサキ・ヒロシマ(NAGASAKI・HIROSHIMA)の体験を忘れることなく言及し、核のない世界の実現を国連に向けて呼びかけた本決議を採択した、国際ペン・プネー大会に参加した世界の作家の皆さんに感謝する。

 日本ペンクラブは、核廃絶・核兵器禁止にむけたヒバクシャ(核の犠牲者)と世界の人々の願いに応え、今後もあらゆる国の核実験に反対し続けるとともに、一日も早く核のない世界を実現するため、私たち一人ひとりの心からの言葉によって世界に訴えていくことを誓う。

 報道によれば、米国は昨年12月、5年ぶりとなる臨界前核実験を実施したという。これは、トランプ政権の「使える核兵器」を所有するとの方針の現れであり、核なき世界を求める世論の高まりにまったく逆行するものである。
 日本ペンクラブは、この臨界前核実験に強く抗議する。核兵器は規模や性能の大小にかかわらず非人道的大量破壊兵器であることに変わりはなく、いかなる意味においても平和のための道具にはなりえないことを、あらためて私たちは強く指摘しておきたい。

2018年10月17日
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 吉岡 忍

第84回国際ペン・プネー大会「非核化」決議はこちら→国際ペン「非核化」決議(英文)