第7次エネルギー基本計画(案)への意見
(2025.1.21)
言論表現委員会委員長 金平茂紀
環境委員会委員長 宮﨑信也
総論)原子力政策の全面的見直しを求める。
原子力発電を「可能な限り依存度を低減する」という記述を削除し、原発の最大限活用と新設を盛り込んだ本計画案は、かつてない大きな方針転換である。合理的根拠もなく、国民的議論を経ずに作成された、今回の原子力政策は全面的に見直すべきだ。
1.「原発の最大限活用」は削除するべきである。
日本は地震大国で、福島第一原発事故で原発はそのリスクの大きさが裏付けられた。事故のリスクは依然としてあることは山中伸介原子力規制委員長も認めている。狭い国土で地形的にも避難は困難を極める。
2.原発新設(建て替えと記載されている)を削除するべきである。
東電福島第一原発事故を受けて原発新設コストが数倍にはねあがっている。政府は事業者の負担を減らし、国民にコスト負担をさせる検討をしていると報じられている。国民生活がひっ迫する中、さらなる負担を国民におしつけることはあってはならない。
3.「可能な限り原発依存度を低減させる」という政策を復活させるべきである。
福島第一原発事故を受けてずっと打ち出してきた方針を、なぜいま削除するのか、合理的な理由がない。世論調査でも国民の半数が「依存度低減」を支持している(日本原子力文化財団2023年度調査で46.7%が低減・即時廃止、増加・維持19.1%)。
4.推進・反対に関わらず解決が必要な課題(核のゴミ問題、福島第一原発の廃炉、福島の復興など)に優先順位をおくべきだ。
核燃料サイクルは破綻しており、新型原子炉の研究開発は優先順位が低く、今取り組んでも、気候変動対策には間に合わない。
5.「再生可能エネルギー導入に最優先に取り組む」との政策を復活させるべきである。
世界は再エネ優先で動いている。原子力を優先させることで再生可能エネルギーの導入が阻害されてはならない。すでに原発優先ルールのもと、大量の再エネが出力制御させられ無駄になっている。
6.意思決定過程の見直しも必要だ。
審議会の人選をフェアに見直すべきである。推進派、利害関係者が多数を占める中で行われた議論は偏っている。イタリアのような国民投票や、ドイツのように倫理的な観点の議論もなかった。開かれた場での公正な国民的議論が必要だ。
参照◆経済産業省 資源エネルギー庁
第7次エネルギー基本計画(案)に対するパブリックコメント(意見募集)