アフガニスタンの詩作禁止令に対するソマイア・ラミシュさんの「詩による抵抗」
『詩の檻はない』の出版によせて
タリバンは2021年8月15日、首都カブールを陥落し、政権を掌握後、女子の教育や就労を禁止し、文学や芸術を弾圧するなど、深刻な人権侵害を続ける中で、2023年1月15日、詩作禁止令を発令した。アフガニスタンからオランダに亡命して「バームダード(亡命詩人の家)」を設立した詩人のソマイア・ラミシュさんは「禁止令に抗議を表明するために詩を送ってください」と自身のSNSで発信。この呼びかけに応じて、日本をはじめとして世界各国から100篇を超える詩作品が届いた。
それらの詩作品を、バームダードの日本連絡窓口を務める詩人の柴田望さんらが編集し、日本語に翻訳した書籍『詩の檻はない――アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』(※)が、カブール陥落の日に合わせて、2023年8月15日に世界に先駆けて日本で刊行された。11月にはフランスでも刊行される予定である。
詩とは思考する自由そのものであり、文学表現の礎である。ソマイア・ラミシュさんの詩による抵抗を支持するとともに、検閲に抗議し、自由の権利を守るために詩作に参加した世界の詩人たちに敬意を表したい。
2023年9月25日
一般社団法人日本ペンクラブ
獄中作家・人権委員会
『詩の檻はない』
著者:ソマイア・ラミシュ、柴田望ほか
発行:バームダード/デザインエッグ社
頁数:162頁
定価:1870円(税込)
※収益が発生した場合は「バームダード」に寄付される