[ウクライナ]国際ペン・各国ペンセンター共同声明「悪化する情勢に平和的解決を促す」2022年2月24日

[ウクライナ]国際ペン・各国ペンセンター共同声明「悪化する情勢に平和的解決を促す」2022年2月24日

 国際ペン(会長 ブルハム・ソンメズ)は、ウクライナ情勢について、日本ペンクラブ(会長 桐野夏生)をはじめとする各国ペンセンターと連名で、以下の声明を発信しました。
 2月22日付の国際ペン声明「悪化する情勢に平和的解決を促す」、ならびにロシアの侵攻後の、国際ペン会長の2月24日付談話に、各国ペンセンターと連名で日本ペンクラブは賛同しております。
 
国際ペン声明「悪化する情勢に平和的解決を促す」

 2月24日、ロシアはウクライナに対して大規模な軍事攻撃を開始しました。このニュースに接し、国際ペンのブルハム・ソンメス氏は以下の談話を発表しました。
 
国際ペン会長談話
 「国際ペンは、ロシア軍がウクライナに放った暴力を全面的に非難し、主権を持つ独立国家に対する軍事的侵略の終結を緊急に求めます。流血は今すぐ止めなければなりません。私たちはウクライナ、ウクライナ・ペンの友人たちとともに立ち上がり、プーチン大統領にこの戦争を直ちに停止するよう求めます。平和が勝利しなければなりません。」

2022年2月24日
国際ペン会長
ブルハム・ソンメズ

国際ペン声明「悪化する情勢に平和的解決を促す」
                                
 世界の作家が参加する国際ペン、ウクライナ・ペン、ならびに、以下に署名したペンセンターは、ロシアがウクライナの国境に軍隊を送り込み、軍事力の行使をエスカレートさせるとの脅威のもとで、急速に悪化するウクライナの状況を深く憂慮しています。我々は、国際ペン憲章に沿った平和的対話と表現の自由の完全な尊重を通じて、ウクライナのすべての人の権利を尊重する平和的解決を求めます。

 ロシアが国際法に反してクリミアを未承認で「併合」し、ドンバスの自称「共和国」を親ロシア派武装集団が事実上支配してから8年、ウクライナの人権状況は厳しい懸念を引き起こし続けています。1万4千人以上が死亡し、145万人近くが国内避難民となり、数十人のジャーナリストが拘束され、誘拐され、拷問され、あるいは仕事を遂行したことだけを理由に嫌がらせを受けてきました。占領下のクリミアでは、国際人権法および国際人道法(戦争法)に対する違反が続いています。一方、ロシアはウクライナに対する一連のサイバー攻撃の背後にいると非難されており、最近ではウクライナ国防省を標的にした攻撃もありました。2022年2月17日、ドンバス地方の学校や住宅地に砲撃が行われ、民間人が負傷し、インフラも被害を受けました。2月21日、プーチン大統領は、自称「ドネツク人民共和国」と「ルハンスク人民共和国」を独立国家として認め、国際法に反して、表向き「平和維持軍」として軍隊を派遣するに至りました。

 すべての個人は、平和、自由な表現、自由な集会に対する権利を有します。ウクライナの人々は、軍事的侵略、高度な情報戦、ロシアによるウクライナ領土の一部の占領など、すでに8年もの長きにわたって暴力を受けてきました。国際ペンのメンバーとして、我々は国際ペン憲章を遵守し、あらゆる憎悪を払拭し、一つの世界で平和と平等に生きる人類という理想を擁護するために最大限の努力をすることを誓っています。私たちは、ウクライナ情勢の悪化を深く憂慮し、さらなる流血が、ウクライナのすべての人々、そしてこの地域全体の平和、安全、希望に脅威を与えていることを実感しています。私たちはすべての当事者に対し、平和的対話を通じてウクライナの武力紛争を平和的に解決し、暴力を煽っているプロパガンダの使用をやめるよう、改めて呼びかけます。


                         2022年2月22日
国際ペン会長 ブルハム・ソンメズ

ウクライナ・ペン会長 アンドレイ・クルコフ氏の談話
「ロシアがウクライナに対して8年間行ってきたハイブリッド戦争は、今や通常戦争に変わりつつあり、兵士や民間人の死傷者は数十万人にのぼるかもしれません。ヨーロッパは、ウクライナの領土において、ヨーロッパの価値を守ることができていません。我々はもはや奈落の縁にいるのではなく、すでに奈落に片足を踏み入れています。もし自由世界の指導者たちが、ロシアが繰り広げようとしている戦争を止めるために最後の決定的な試みをしないなら、「第二次世界大戦は人類に何も教えていない!」と言っても差し支えないでしょう。私は、この惑星のすべての自由な人々に訴えます。ウクライナの自由と独立を守るために、可能な限りのことをやってください。自由で独立したウクライナなくして、自由で安全なヨーロッパはあり得ません!」

 私たちは、モスクワの干渉を受けずに、国の将来の忠誠と歴史について議論するウクライナの人々の権利を受け入れないプーチン大統領によって引き起こされた、平和と表現の自由への脅威を残念に思っています。クリミアの併合、ドンバスでの軍隊の横断、そして西側国境沿いであれ黒海であれ、この地域への彼の不当な軍隊の集中は止められなければならない。ウクライナの主権、独立、領土の完全性は尊重されるべきです。紛争と誤解を回避するための多国間フォーラムを活用し、ウクライナとロシア双方における表現の自由と情報へのアクセスを完全に保護する必要があります。

国際ペン
ウクライナ・ペン
(以下アルファベット順)
アルバニア・ペン、オーストリア・ペン、クロアチア・ペン、英国ペン、フランス・ペン、フィンランド・ペン、ドイツ・ペン、アイルランド・ペン、日本ペンクラブ、モンテネグロ・ペン、米国ペン、カナダ・ペン、カタロニア・ペン、ベラルーシ・ペン、ボスニア・ヘルツェゴビナ・ペン、亡命キューバ作家・ペン、エスペラント・ペン、コソボ・ペン、リヒテンシュタイン・ペン、マルタ・ペン、メルボルン・ペン、モスクワ・ペン、オランダ・ペン、ニュージーランド・ペン、ノルウェー・ペン、パース・ペン、ルーマニア・ペン、スロベニア・ペン、サンクト・ペテルスブルグ・ペン、スウェーデン・ペン、海外ベトナム・ペン、ウェールズ・ペン

原文:国際ペンホームページ
https://pen-international.org/news/ukraine-russia-pen-urges-peaceful-solution-to-deteriorating-situation