国際ペン、表現の自由の弾圧の記録「ケースリスト(Case List)」を発表
- 2019.05.31
- 国際ペン
2019年5月30日、国際ペンから表現の自由の弾圧の記録「ケースリスト(Case List)」が発表され、世界中の作家やジャーナリストが仕事中にますます脅威にさらされていることが明らかとなった。
「ケースリスト」で最も多く報告されている表現の自由に対する攻撃は、長期の拘禁刑である。職業上の活動や平和的活動のために投獄された作家は68人で、全体の三分の一を占めた。そのうちの約半数にあたる32人は、反テロ法や国家安全保障法により起訴されている。PENは、拘禁の理由を明らかにする必要がある18人のケース(事例)を現在調査している。
アフリカと中東では、ほぼ半数が長期刑であり、特にエリトリア、エジプト、イランでは長期拘禁となっている。アジアでは32人の作家が長期拘束されていて、そのほとんどが中国の刑務所にいる。ヨーロッパでは拘禁された人びとの3分の2がトルコにおり、トルコで裁判にかけられている。
近年、米州地域の作家に対しては投獄が広く行われていないが、嫌がらせや脅迫は恒常的で、ケースリストに掲載された事例の半数にあたる。過去数年間の殺人事件が未解決のままになっている場合が多いこの地域には、犯罪者に対する免責の影が重くのしかかっている。
すべての地域、とりわけ近年行われた殺人事件で宗教過激派が処罰されていないアジアにおいて、作家が殺されたことに対する正義の追及の欠如が顕著である。
2018年には、ジャーナリストの報道に対する報復殺害が倍増した。イスタンブールのサウジ領事館でサウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・ハショギが残虐に殺害された事件から、スロバキア人記者のヤン・クシアクと婚約者が自宅で殺害された事件まで、世界中のジャーナリストが仕事を遂行する上で大きな危険にさらされている。メキシコでは少なくとも8人のジャーナリストが、アフガニスタンでの爆弾攻撃では9人の放送ジャーナリストが死亡した。
良いニュースもある。イスラエルのパレスチナ市民であるダレン・タトゥールは昨年9月に釈放された後、拘禁中に国際ペン会員から届く手紙が彼女を「勇気づけた」と語った。500日以上の投獄の後に釈放されたクルド系トルコ人アーティストのゼフラ・ドリアンは、国際PENの支援を受けていたので「無力感を感じたことはありませんでした。」と語った。エチオピア人ブロガーのエスキンダー・ネガは、「PENのひとつひとつの言葉は、私と私の家族だけでなく、エチオピアの民主化運動全体の士気を高めるものでした。」と書いている。イタリア人ジャーナリスト、ロベルト・サヴィアーノは「連帯は光明である」と今年初めに国際ペンに語った。毎年、PENインターナショナルは、表現の自由の仕事のために攻撃されている世界中の何百人もの作家とジャーナリストのために、監視とキャンペーンを行っている。
ケースリスト(英文)はこちらから→PEN-Case-List-FULL-Web-2018