[国際ペン]ミャンマーの活動家、マウン・サウンカ氏の訴追を取り下げるよう求め、ロヒンギャにかかわる地域でのインターネット遮断を中止するように求める。

[国際ペン]ミャンマーの活動家、マウン・サウンカ氏の訴追を取り下げるよう求め、ロヒンギャにかかわる地域でのインターネット遮断を中止するように求める。

https://pen-international.org/news/myanmar-drop-all-charges-against-maung-saungkha-and-end-internet-blackout

(国際ペンホームページより)

9月2日—国際ペンは著名な詩人で活動家のマウン・サウンカ(Maung Saungkha)氏が起訴されたことを非常に懸念しており、ビルマ当局に対し、202094日の判決を待たずにすべての起訴を取り下げるよう要請した。

ビルマ当局は「平和的集会および行進法」に基づき、平和的な集会および平和的な行進の権利が非常に阻害されているとして同氏を非難しているが、マウン氏は、デモ行進で「ラカインでの戦争犯罪を隠蔽し人々を殺害するために、インターネットが遮断されているのだろうか?」と書いた垂れ幕を見せたことで、現在同法による3カ月の禁固刑に直面している。マウン氏はビルマ西部のラカイン州やチン州で続くインターネット接続の遮断をやめるよう繰り返しビルマ当局に求めてきた。この遮断は、同地域のロヒンギャに対する組織的な人権侵害が広く報告されたことを受けて、とられた措置である。この通信遮断は、影響を受けた地域の人々の安全に深刻な影響を与え、紛争の影響を受けた地域社会が外の世界と関わり、食糧不足を報告し、医療援助を要請する能力を著しく制限することとになっている。COVID-19の世界的流行による、ウイルスへの曝露によってもたらされる脅威を最小限に抑えるために必要で重要な公衆衛生情報へのアクセスが出来なくなっている。

マウン氏に対する起訴に対して、国際ペンのロマナ・カッチオリ副部長は、「COVID-19」 がビルマの公衆衛生にとって重大な脅威となっている中、当局がマウン・サウンカ氏などの平和的活動家を迫害していることは、国家が国民の福利よりも抑圧を優先していることの表れである。紛争の影響を受けた地域で現在も続いているインターネットの切断に反対するマウン氏のキャンペーンは、表現の自由の制限がいかに国全体の健康と安全に有害な影響を及ぼし得るかを浮き彫りにしている。私たちはビルマ当局に、マウン・サウンカ氏に対するすべての告訴を取り下げ、インターネットの遮断を直ちに終わらせるよう求める。そうすることで、政府がミャンマーの人々の健康と福祉を最優先事項と考えていることを世界に示すことができるだろう。」と述べた。

当局は国民の批判を検閲し、平和的に表現の自由の権利を行使しようとする作家や詩人などを迫害するために、同国の法制度を恒常的に利用してきた。今年の初め、国際ペンは、平和的な集会の際に行われたビルマ憲法の改正を求めた詩の朗読により、2年の刑に直面している著名な詩人でミャンマー・ペンの理事であるソー・ワイ氏に対するすべての容疑を直ちに撤回するよう求めた。マウン・サウンカ氏に対する起訴は、2016年国際ペン大会で決議されたビルマに関する決議において要求された「平和的集会および行進法」を直ちに廃止する必要性をさらに確認するものとなった。

 

ミャンマーにおける表現の自由の背景

アウン・サン・スー・チー女史率いる国民民主連盟 (NLD) 政権が発足してから4年が経過したが、表現の自由を守るために必要な政治・法律改革はほとんど進展していない。ビルマの刑法、電気通信法、市民のプライバシーと安全を守る法律など、さまざまな法律が、より大きな自由を求めた個人を訴追するために当局によって利用されている。ビルマ国軍は、重大な人権侵害に関与していると国連の調査団が判断しているにもかかわらず、依然として政治的影響力を持っている。報道によると、20194月以降、憲法改正を要求したり、軍の違法行為を報告した者を含む、軍の名誉を毀損したとされる個人を訴える軍関係者の訴えが増えている。