国際ぺンが内モンゴルの教育制度改正に重大懸念を表明。 モンゴル人の言語権が脅かされている。
国際ペンは、2020年11月24日内モンゴルにおける最近の教育制度改正に懸念を抱いていることを表明した。この改正は、モンゴル人のアイデンティティを示す重要な指標であるモンゴル語を犠牲にして、標準中国語による教育を優先しようとするものである。
中華人民共和国 (PRC) の自治区である内モンゴルでは、近年教育制度の変更が行われ、モンゴル族による大規模デモや、これに対する中国政府による弾圧がおこった。
この地域の多くのモンゴル人から見れば、このような変更は、中国当局がモンゴル語の使用を減少させようとしている最新の施策とみなされている。モンゴル語の使用は、この地域の全人口の20%未満を占める少数民族としての文化的アイデンティティを示す明確な指標である。
内モンゴル自治区の自治区としての地位は、表向きはモンゴル民族の人々に少数民族として彼らの言語を使用し、発展させるより大きな自由を与えている。しかし、実際には、これらの保護は、学校のカリキュラムの一部としてモンゴル語の使用を阻害しようとする政府の政策により、有名無実となろうとしている。
2020年夏に発表された最新の教育制度改正では、従来モンゴル語で教えていた授業科目をマンダリン語(標準中国語)に変更し、マンダリン語(標準中国語)による授業時間数の増加を目指している。
この地域のモンゴル語学校にとって、この改正は、モンゴル語による教育を生徒に提供する可能性を低下させている。マンダリン語(標準中国語)での学習が優先されるため、モンゴル語を介した学習時間が毎週短縮され、モンゴル民族の学生が母語を使ってコミュニケーション能力を伸ばすことが制限されている。
中国政府によると、教育制度改正を実施する動機は、内モンゴルの生徒が、中国語で書かれた国定教科書の最新教材を確実に利用できるようにすることである。
教育の質を改善しようとする努力は称賛に値するが、標準中国語のみで提供される国家カリキュラムへの依存は、中国憲法に明示されている、中国の少数民族地域の地域自治の精神を損ない、少数民族の言語を使用し、開発する権利を損なう危険性がある。こうした懸念は、中国政府が国のカリキュラムを少数民族の言語に翻訳することに投資すれば、容易に解決できるであろう。
教育制度改正はモンゴル語の段階的廃止を意味するものではないという地方政府の声明にもかかわらず、この変更はチベットと新疆における同様の 「バイリンガル」 教育政策の実施を反映しており、両地域における少数言語の使用に壊滅的な影響を与えている。
この改革がこの地域でのモンゴル語の使用に与える潜在的な脅威を認識し、8月にはこの10年で最大規模のデモが行われ、数千人のモンゴル人がこの新しい言語政策に抗議するために地域の学校外に集まった。
改革に反対するデモに対する報復として、中国政府は異議に対する弾圧を行った。報道によると、当局は中国で唯一のモンゴル語のソーシャルメディアサイトを閉鎖したほか、地域当局は、学校をボイコットし続けると、生徒を追放したり、保護者を政府のブラックリストに載せたりすると脅していると伝えられている。治安部隊はまた、デモ参加者に対する厳重な取り締まりを行い、少なくとも23人を拘禁し、ソーシャルメディアを通じて「偽ニュース」を広めた者に対し報奨金を提供した。
国際ペンは、ランジャブ・ボルジギン氏やナサヌルゼイ・ハンギン氏を含むモンゴルの著名作家数人が取り締まりの一環として自宅軟禁されているという報告を受けた。
内モンゴルの教育制度改正について、国際ペンのウルツィ・ウルティコエチェア翻訳・言語権利委員会委員長は、「国際ペンは、内モンゴル自治区における最近の発展を非常に懸念している。中国政府は、その重要な言語遺産を誇りに思うべきであり、それを保護し促進する責任がある。モンゴル語人口を同化させるために教科書や指導言語を取り替えようとする試みは、彼らの言語的権利の侵害であるだけでなく、市民が自分たちの言語を話すことをあきらめるという統合化を目指すものである。それよりも、特定の民族集団のニーズ、特殊性、文化、言語に適応し、その国の豊かな言語遺産とその話者に対する誇りを証明する国家でなければならない。」と述べた。
国際ペンは、中国政府に対し、モンゴルの少数民族の独自性を尊重し、少数民族の言語を効果的に保護し、その言語の開発を促進し、少数民族の母語でのコミュニケーション能力や文化的繁栄の能力を損なうことのない方法で、二つの言語を両立させる教育政策を実施するよう要請する。