日本ペンクラブ声明  「沖縄県慰霊の日にあたって~  政治に言葉を取りもどし、辺野古新基地建設の見直しを求める

日本ペンクラブ声明 「沖縄県慰霊の日にあたって~ 政治に言葉を取りもどし、辺野古新基地建設の見直しを求める

日本ペンクラブ声明20190623

   沖縄県慰霊の日(6月23日)にあたり、私たちはアジア太平洋戦争の犠牲となった多くの命を悼み、二度とこのような惨禍を繰り返さぬよう、あくまで言葉と表現の力で平和を希求する決意をあらたにしています。
 戦争終結から74年、本土復帰から47年が過ぎた今日でも、沖縄には米軍基地が集中し、県民に大きな負担を強いています。そのうえ政府は、沖縄県民が折々の選挙のたび、そして今年2月の県民投票においても、圧倒的多数で反対の意思を表明したにもかかわらず、辺野古新基地建設を強硬に推し進めています。
 ――いったい日本政府は、こうした軍事最優先の施策が戦争の惨禍を生み、沖縄においては住民虐殺や集団自決の悲劇すら生んだことをどう考えているのか。政府はいつまで、米軍機が昼夜を分かたず沖縄の空を飛び、軍用車両が我がもの顔で道路を走り回ることを許容するつもりなのか。どうして政府は本土から警察機動隊を送り込んでまで、新基地建設に反対する人たちの声を押さえつけようとするのか。これら日本政府の一連の動きの背後に、米国政府と交わしたいかなる取り決めがあるのか……。
 この間、多くの沖縄の人々がこうした問いを発しつづけてきました。私たちも共有するこの疑念に、日本政府は一度もまともに答えたことがありません。
 この政府の姿勢、すなわち相手の言葉を聞かず、相手に届く言葉を持たず、言葉をないがしろにする一方で、国内外で権力や武力を前面に押し立て、問答無用とばかりに国を動かした結果がさきの大戦でした。私たちはこの歴史を繰り返すわけにはいきません。
 私たちは、近年の政治と行政の場において一段と民主主義の基本である言葉の重要性が失われてきたことを危惧しています。
 私たちは、安倍政権が沖縄県民の示した民意に向き合い、辺野古新基地建設をただちに見直すことを強く求めます。
  

2019年6月23日
           一般社団法人日本ペンクラブ
                  会長 吉岡忍