国際ペン「劉暁波氏」ノーペル平和賞受賞10年記念キャンペーン  中国の作家を自由に!

国際ペン「劉暁波氏」ノーペル平和賞受賞10年記念キャンペーン  中国の作家を自由に!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2020年12月10日は、中国の作家、劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞して10年にあたります。国際ぺンはこの日にあたり、中国で多くの作家が、平和的な表現活動にも拘わらず、拘禁、獄中にある状況に抗議し、4名の方を取り上げて、全世界の皆様に支援と連帯を呼び掛けています。    

 

YouTubeで放映中

故劉暁波氏の詩を妻、劉霞氏が朗読します。(紹介:アッカーマン国際ペン副会長米国) 詩は「ヴァン・ゴッホとあなた」です。

カナダの作家、マドリン・ティエン(Madeleine Thien)さんからのメッセージ

 2017年に亡くなった作家、文芸評論家、人権活動家の劉暁波氏にノーベル平和賞が授与されて今年で十周年を迎えました。

 劉暁波氏を記念するこのキャンペーンは、その生涯、中国文学への貢献、そして中華人民共和国 (PRC) における基本的自由の促進という無私の活動を称えるものです。
 またこの日は、1948年12月10日に国連総会で世界人権宣言が採択されたことを記念して設けられた、国連「人権の日」 に合わせたものです。また、劉暁波氏をはじめとする中国の人権活動家が共同で執筆した「零八憲章」 は2008年12月10日に発表されました。この宣言は、中国における人権と民主的自由の拡大を求める画期的な文書です。

カナダの作家、マドリン・ティエン(Madeleine Thien)さんからのメッセージ
 私はマドリン・ティエン(Madeleine Thien)です。
 そして、国際ペンの劉暁波氏記念キャンペーンを紹介できることを光栄に思います。
 2008年、世界人権宣言60周年を迎え、劉暁波氏と300名の中国の人々は 「零八憲章」 を発表しました
 自国の憲法と中国が署名している「世界人権宣言」を守るよう政府に要求しました。
 このため、中国政府は懲役11年を言い渡した。
 劉暁波氏は2017年7月13日に当局の拘束状態で亡くなりました。
 ノーベル平和賞受賞者としては、1938年にカール・フォン・オシエツキーがゲシュタポの監視下で亡くなって以降のことです。
 劉暁波氏は2009年に「表現の自由という中国の憲法上の権利を守り、中国市民としての社会的責任を果たすためであり、私には罪悪感はない」と書いています。
 2010年12月10日に劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞してから十周年を記念して、
 国際ペンは、2020年12月に新しいキャンペーンを開始します。
 劉暁波氏の記念キャンペーンは中国文学への貢献、中国の基本的自由を推進する彼の無私の仕事という彼の生涯を記念するものです。
 このキャンペーンでは、現在中国政府に拘束されている作家4名についても取り上げています。
 12月10日は、世界人権デーと重なるという意味で、さらに重要です。
 これは1948年12月10日の国連総会における世界人権宣言の採択を記念するものです。
記念日まで、世界中のペンセンターは、5名の作家を連日取り上げます。中国当局に手紙を書いて釈放を要求するようお願いします。
 そして、12月10日に、劉暁波氏を追悼するビデオを公開する予定です。

劉暁波氏について
 劉暁波氏は独立中国語ペンセンターの会長であり創設メンバーでした。彼は2008年に 「零八憲章」 に署名したとして逮捕され、「国家政権転覆扇動罪」で起訴され11年の刑を宣告されるまで、北京の非公開の場所で隔離拘禁されていました。劉暁波氏は、亡くなるまでの8年間を中国東北部の錦州刑務所で過ごしましたが、家族、友人、同僚との面会はほとんど、あるいは全くできませんでした。2010年彼の「中国の基本的人権のための長く非暴力の闘い」を称え、ノーベル平和賞を受賞しました。2017年に拘束されたまま病院で亡くなりました。

国際ペン獄中作家委員会委員長で作家、ジャーナリストの サリル・トリパチ(Salil Tripathi)氏のメッセージ
 「劉暁波氏は、敵はいないと言っていましたが実際、いませんでした。彼が示した、すべての人は平等である、自分の人生を思うように生きる権利がある、個人の自由が人間性の中核である、個人の尊厳を尊重する、などの考え方は、中国の権力者たちにとって嫌悪の対象となりました。彼らは彼の言葉と考えを理由に彼を投獄し、彼に残された時間がほとんどないときにのみ、彼に医療上の仮釈放を許可しました。中国の権力者たちは世界に彼を忘れさせようとしました。しかし、世界が劉暁波氏を忘れないのと同じように、中国で投獄され続け、自由と生き方を否定されている詩人、作家、出版者、知識人たちのことも忘れないでしょう。私たちは彼らの言葉を朗読し、彼らの声を拡散させ、中国を見つめ直します。天安門広場の戦車の前の男性、中国の思想改造キャンプにいるウイグル人、香港の路上の民主活動家からインスピレーションを受け、零八憲章を想いながら。」

「劉暁波氏」ノーペル平和賞受賞10年記念キャンペーン 

 劉暁波氏氏を追悼し、彼の生涯と中国における消え去ることのない影響力を思い起こし、このキャンペーンは、現在中国政府に拘束されている作家、桂民梅(Gui Minhai)、クンチョク・チェペル(Kunchok Tsephel)、楊恒均(Yang Hengjun)、秦永民(Qin Yongmin)に焦点をあてています。このキャンペーンは、彼らの状況に対する認識を高め、彼らに代わってアドボカシー活動を後押しし、彼らとその家族が支援され、忘れられていないと感じられるようにするものです。活動内容は、手紙を書くこと、メッセージをSNSで拡散することをはじめ、多岐にわたるでしょう。国際ペン、各国のペンセンター及び世界中のペン会員は、このキャンペーンを通じて5名の獄中作家を支援する活動を行います。

中国当局に対し抗議して、#LiuXiaoboanniversary、#GuiMinhai、#KunchokTsephel、#YangHengjun、#QinYongmin のタグを使って彼らを釈放するための拡散をお願いします。

私たちの作家たち

桂民梅(Gui Minhai)
 桂民梅(Gui Minhai)さんはスウェーデンの詩人、作家、独立中国語センター (ICPC) のメンバー、そして出版社を経営しています。桂氏は北京大で歴史を勉強し詩が好きになりました。その後、1980年代後半にスウェーデンに移住して研究を続け、イェーテボリ大学で中国史の博士号を取得しました。
 2000年代半ばには、学術的なエッセイから中国共産党の政治指導部をめぐる政治的陰謀の話など、中国政治に関する論評に執筆活動を移しました。彼は香港で出版業界に積極的に参加し、本土で禁止されている本を専門とする出版社をいくつか設立しました。2015年に強制的な失踪とみなされた香港の書店の5名の経営者のうちの一人であり、2015年10月にタイの別荘から誘拐され、治安部隊によって中国に移送され、以来拘禁されています。2020年2月24日、国家安全保障に関する罪で10年の刑を正式に言い渡されました。

 

 

 


クンチョク・チェペル(Kunchok Tsephel)
クンチョク・チェペル(Kunchok Tsephel)さんは、チベット人作家であり、言語教師、人権活動家です。甘粛省の甘南チベット族自治区で生まれ、1989年に北インドでチベット語教育を受けるため中国を離れ、1994年に中国に戻ったところ、すぐに拘禁され拷問を受け、その後釈放されました。
 1990年後半には北京民族大学と甘粛省の北西民族大学で英語と北京語を学び、勉学を続けました。2004年、チベット語と英語の教師として教育を受け、チベットの著名な詩人、キャプチャン・デドロル(Kyabchen Dedrol)氏と共に、中国におけるチベット文学の振興を目的とした初のウェブサイトChoemeiを開設しました。
 2009年、クンチョクさんは非公開の審理で 「国家機密の暴露」 の罪で起訴され、15年の刑を言い渡されました。最近の報告によると、クンチョクさんは拘束下での苦痛を伴う病状が出ているそうです。

 

 

楊恒均(Yang Hengjun)
 楊恒均(Yang Hengjun)さんはオーストラリア国籍をもつ小説家、ブロガー、政治評論家で、中国の人権と政治改革の推進に尽力してきました。
 中国の政治と多元的民主主義の利点について気鋭の解説者である楊氏の文章は、定期的にオンライン雑誌「Diplomat」でも取り上げられ、ブログ記事は中国のソーシャルメディアで大きな支持を集め、 「民主主義の行商人」 と呼ばれるようになりました。彼は小説家でもあり、 「Fatal series」 として知られるスパイ小説三部作を書いています。
 2019年1月に家族とともに中国を訪問した際、楊氏は治安部隊に拉致され、2020年10月7日にスパイ容疑で正式に起訴されました。有罪判決を受けた場合、楊恒均さんは懲役3年から死刑まで宣告される可能性があります。

 

 

 

 

秦永民(Qin Yongmin)
秦永民(Qin Yongmin)さんは作家であり、独立中国語センター (ICPC) のメンバーであり、生涯にわたる人権擁護活動家です。1970年に「民主の壁」運動に参加し、毛沢東時代の共産党政策に批判的な評論を掲載した独立系雑誌 「ベル」(The Bell) を共同創刊し、政治に関与しました。
 その後数十年にわたり、彼は怖れることなく人権を促進し、中国政府と中国市民社会との対話の拡大を求めるために、多大な個人的犠牲を払って著作活動をしてきました。中国での人権と政治改革の推進を目的とした 「平和憲章」 の起草、中国での人権団体 「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」 の設立、インターネット上での講演会や民主化運動の文章を掲載したウェブサイト 「ローズ・チャイナ」 の開設など、多くの功績があります。
 2015年、秦氏は三年間拘禁された後、13年の刑 (2018年7月) を言い渡されました。67歳の同氏にとって、2028年に予定されていた釈放まで、人生の大部分を拘禁されることになります。最近の報告によれば、彼の健康状態の悪化は明らかで、読み書きをする権利も奪われています。


(国際ペンホームページより)
国際ペンの最近の活動から
国際ぺンが内モンゴルの教育制度改正に重大懸念を表明。 モンゴル人の言語権が脅かされている。(2020年11月20日)
国際ペンが出版社社長で民主化運動家の黎智英氏の逮捕に対する深刻な懸念を表明(2020年8月12日)

日本ペンクラブの活動

日本ペンクラブ声明 「香港に自由を~私たちの民主主義的価値も脅かされている」(2020年8月12日)

The Japan PEN Club statement “Freedom in Hong Kong ~ Our democratic values are also threatened”


日本ペンクラブ声明「劉暁波氏への人道的対応を求める」(2017年7月4日)